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Channel: HOTEI official BLOG / 布袋寅泰 公式ブログ
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高橋まこと 友情出演決定!

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さいたまスーパーアリーナ、50歳のBIRTHDAY GIGに

花束の代わりにスティックを持って

まこっちゃんがお祝いに駆けつけてくれることになりました!


BOΦWY LAST GIGSから24年振りの共演となります!


二人のBEATが重なるのが今からとても楽しみです!

皆さんもどうぞお楽しみに!!!






50.JPG

30th ANNIVERSARY 第四弾
HOTEI THE ANTHOLOGY "最終章"
WE ARE DREAMER
~50th BIRTHDAY SPECIAL CELEBRATION GIG~

2月1日(水) さいたまスーパーアリーナ

Open 18:00
Start  19:00

お問い合わせ キョードー東京 0570−064−708










夢と共に、50歳。

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僕の50代最初の朝は、いつもと変わらぬ愛犬ルーリーの散歩から始った。
いつもと変わらぬ公園のいつもと変わらぬ道を、いつもと変わらぬ歩幅で歩いた。
いつもと変わらぬはずの景色や風、太陽の光が、いつもとは違って感じられた。

追憶...。

10代は春風のように過ぎた。
小学生の頃。群馬の自然に満ちた環境の中、友達と山で遊び、川で泳いだ。
夕焼け燃える田んぼ道を自転車で全力で駆けたものだ。
勉強はあまり好きではなかったが、生徒会長に選ばれた。
小さな恋もした。
ピアノを弾くのが好きだった。
中学受験をし私立の学校へ。
自由な校風の中、テニスやサッカー、読書など、心身ともにのびのびと過ごした。
高校生になると煙草は吸ったがバイクには乗らず、不良にもならなかった。
14歳でロックンロールに恋をした。
ギターを買い仲間とバンドを組み、新しいコードを覚えるたびにドキドキした。
コンテストに何度も挑戦したが、唯一もらえたのはゴミ袋で作った衣装が評価された「アイデア賞」だけ。
ベストギタリスト賞など、遠い夢のまた夢だった。
高校卒業を待てずドロップアウトし東京へ。
風呂もトイレもない小さなアパートで、ギターと一緒に暮らし始めた。

20代は冒険の時代。
同郷の仲間とバンドを結成し幸運にもデビューを果たすも、なかなか思い通りにはいかなかった。
今思えば、あの時の悔しさがその後の人生の糧となった。
ワゴン車に乗りライブハウスを廻った。
僕らのロールスロイスはクーラーが効かなかったけど、いつも笑い声に溢れていた。
23歳で結婚をした。
若い自分は大きな心に欠けていた。
初めて飛行機に乗り、ベルリン、ロンドンを旅した。
その後、バンドは爆発的な成功を手にした。
ある日、キャッシュカードの残高照会を見て驚いた。
機械が壊れたのだと思い、可能な額を急いで引き出した。
ビートルズのような日々を過ごし、ビートルズのように幕を閉じた。
それからはパスポートが真っ黒になるくらい、世界中を旅した。


30代は挑戦の時。
一度手にした栄光にすがることなく、常に新しいものを提示する姿勢を貫きたかった。
自分を壊し、また構築する。その繰り返しだった。
CMや映画など、ギタリストの仕事ではない世界にも挑戦した。
DAVID BOWIEとの夢の競演、アトランタ五輪閉会式への参加など多くのチャンスにも恵まれた。
世界中を飛び回り、幼い頃父に言われた「世界は広いのだ」という言葉を体感した。
様々な人種や文化に接することで、感覚を磨いた。
次から次へと沸き上がるアイデア。多忙でクレイジーな日々。
満たされていたけど、なぜかどこか淋しかった。

40代は自分を見つめるべき大切な時となる。
生死を彷徨う怪我を負ったが奇跡的に助かった。
多くの人々に支えられ、生まれ変わったような気持ちのリハビリ中、愛娘が誕生した。
原点回帰する思いでギターと向き合い、自分のスタイルを見つめ直した。
ギターを手にして30年目にしてようやく、ギターの弾き方がわかってきた。
ライブハウスに戻り、毎月違うメンバーとセッション・ライブを行った。
それはとても貴重な経験だった。
ギターを弾くのがまた、楽しくなってきた。
スーツが好きになった。
シンプルな生き方もいいな、と考えるようになった。
毎朝ルーリーと、いつもの公園のいつもと変わらぬ道を、
いつもと変わらぬ歩幅で歩くのが日課となった。
真夜中の静寂より、朝の太陽が好きになった。


20歳の頃、30年後の自分など、想像もつかなかった。
大人になんかなりたくなかったし、大人になんかなれないと思って生きてきた。
きっとそれは誰もが同じだろう。
年を重ねることは、若さを失うことであり、
自由奔放な生き方を奪われることだと、どこか怯えるような感覚がある。
しかし、生きている限り、時は流れ、人は年老いてゆく。
それを受け入れ、楽しみ、人生を満たしてゆくのは、自分次第。

穏やかな気持ちで迎えた50歳の朝。

美樹さんの作った和朝食を食べ、ルーリーとの散歩に出かける。
トレーナーと時間をかけて全身をストレッチした後、軽くトレーニングをし筋肉に意識を繋げる。
シャワーを浴びて白いシャツにブラック•タイを結び、スーツを着る。
迎えの車に乗り、コンサート会場に向かう。
楽屋入り口でいつものスタッフ達が「おめでとうございます!」と声をかけてくれる。
楽屋にはパスタが用意されている。
リハーサルのステージで愛すべきバンドと握手を交わす。
微笑み合いながら音を重ねる。
誰もいない広いホールにロックンロールが鳴り響く。
照明やカメラがその音を追う。
準備が整い、楽屋に戻り、メイクをしながら開演時間を待つ。

幕が開く。

歓声。

僕は、長い花道をギターと共に走りだす。

光の中、左足でステップを踏みながらギターをかき鳴らしながら、

僕は心の奥で叫んだ。

「ここまできたぞ」

と。


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                                                                            (PHOTO by 山本倫子)


熱狂のステージから楽屋に戻ると母がいた。
「あなたの息子も50になりましたよ」と語りかけると
「信じられないわね」と微笑んだ。

その後、大切な仲間たちとのパーティーは夜更けまで続いた。



翌日、母から受け取った手紙を読み、胸がいっぱいになった。


お誕生日おめでとうございます。
今夜のコンサートは過去と未来の大切な夢がいっぱいのコンサートと思います。
美樹さん、愛娘さんに素敵な夢を差し上げて下さい。
私は日本一幸せな母と、嬉しく感謝申し上げます。
どうぞ、体を御自愛なさいますよう。




美樹さんからは「50代も素敵な旅人でありますように」と素敵な鞄をもらった。

娘からもらったキディランドの袋には、彼女がラインストーンでデザインしたという携帯ストラップが入っていた。

そこには

「I ♥ROCK」

というキラキラとした言葉。



素晴らしい家族やスタッフ、そして素晴らしい友人やファンの皆さんの祝福と共に迎えた50歳。
我ながら本当に幸せな男だと思う。
皆様、本当にありがとうございました。

そしてこの人生の大きな節目に、自分らしくいられたことを誇りに思うと同時に、
いつまでも夢を追いかける少年の瞳を忘れずに、カッコいい大人を目指し精進したい。


人生、まだまだこれからだ。



さいたまスーパーアリーナ  SE〜映像コメント〜セットリスト

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客入れSE

Une Nuit A Paris / 10cc
This Town Ain't Big Enough for the Both of Us / Sparks
Nasty Habits / Oingo Boingo
Be-Bop-A-Lula / John Lennon
Rock This Town / Stray Cats
Can The Can / Suzi Quatro
See My Baby Jive / The Wizzard
Moonage Daydream / David Bowie
Telegram Sam / Bauhaus
Having My Picture Taken / The Boomtown Rats
Rockwrok / Ultravox
If It's Love / Squeeze
Accidents Will Happen / Elvis Costello & The Attractions
She Sells / Roxy Music
Stay Young / Bill Nelson's Red Noise
All Queued Up / Deaf School
Let's Spend The Night Together / David Bowie
Happy Birthday Mr. President / マリリン・モンロー
Birthday / The Beatles


お祝い映像コメント

ブライアン・セッツァー
小渕健太郎
江角マキコ
豊川悦司
Char
辰吉丈一郎
小塚崇彦
今井美樹
吉川晃司


SHOW TIME!!!

1    B•BLUE
2    RAMBLING MAN
3    TEENAGE EMOTION
4    RADIO! RADIO! RADIO!
5    BEAT EMOTION
6    TWO OF US
7    さよならアンディ・ウォーホル
8    ANGEL WALTZ
9    ハウリング
10    薔薇と雨
11    BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY
12    Amazing Grace~上を向いて歩こう
13    RUSSIAN ROULETTE
14    スリル
15    バンビーナ
16    CAPTAIN ROCK
17    MERRY-GO-ROUND
18    PLASTIC BOMB
19    恋をとめないで
20    DREAMIN'
21    IDENTITY
    
EN1   
22    JUSTY (with 高橋まこと)
23    NO.NEW YORK (with 高橋まこと)
24    FULL MOON PARTY (with 高橋まこと)
   
EN2   
25    FLY INTO YOUR DREAM
26    LONELY★WILD(Piano弾き語り)

心機一転

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3月に入りました。

昨日の雪が残る東京。

かと思えば今日は気温も高く、庭の雪もあっという間に溶けてしまいました。

2月1日のBIG PARTY以降、少しもぬけの殻になったのも事実。

一年間、全速力で走り抜けたのですから無理もないかもしれません。

2月は友人のTONY GREYのライブや氣志團のライブにサプライズ・ゲストとして参加させてもらったり、

森雪之丞さんの念願が叶うミュージカル『サイケデリック・ペイン』の曲作りをしたり、

今日もこれからクリス・ペプラー氏からのお誘いで

「McDonald's TOKIO HOT 100 LIVE ~Heart to Heart~」に参加したり、

フットワーク軽く音楽生活を楽しんでいます。


しかしながら、昨日も今日も少し大きめの揺れを感じたり、

3.11を目前に、未だ解決どころか問題山積みの現状を見ると

心が晴れ渡る日が来るのは、まだまだ時間がかかりそうだな、

とやるせない気持ちになります。


しかし、うつむいてはいけません。

自分のできることはたかが知れているけど、それを精一杯やる!

と自分に誓ったことを忘れてはなりません。

今日もありったけの想いをギターに委ねたいと思います。


デザインが変わったこのブログも、もう少し頻度をあげていきますね!

今後もどうぞよろしく!

お雛様と赤いテレキャスター

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今日は桃の節句。
娘が生まれた年に購入した我が家のお雛様を飾るのも、早いもので今年で10年目となる。
毎年2月中頃になると、柔らかな紙で丁寧に包まれた小さなお雛様や道具たちを箱から取り出して、
母と娘が語らいながら飾りつける。
小さなオーケストラのようなひな飾りは、突然思い出したかのように降る雪を背に
ほのかな音楽を奏でながら「春よ来い、早く来い」と静かな宴を繰り返す。
隣に飾られた桃の花がふっくら開き、3月3日は春が来る。

幼い頃、故郷の実家で、まだ赤ちゃんの妹の代わりに、母がお雛様を飾るのを手伝った記憶が蘇る。
男の子にとっての人形といえばプラスチック製のウルトラマンや怪獣たち。
お雛様を乱暴に扱って母によく母に叱られたものだ。
ふっくら優しい顔をした人形を指して、
「この人形のような優しく美しい心の女性に育ちますように、とお祈りするのよ」
と母は僕に語りかけていたのだろう。
3月3日が過ぎると母と僕は筆で人形たちの埃を払い、柔らかな紙で丁寧に包んで箱にしまった。
群馬の冷たい冬の風も、やがて小鳥のさえずりと共に春風に変わる。

中学受験で私立校に入学した僕は高校受験というものをシリアスに体験しなかった。
同年代の仲間たちが必死で受験勉強に励む頃、僕はすでにギターに夢中だった。
初めて手にしたギターは1万円のアンプ付きのストラトキャスター。
立派なギターではなかったかもしれないけれど、僕にとっては自慢の宝物だった。
今思えば、14歳、15歳、16歳と、最も多感な時期にギターと出会ったことで僕の人生は変わった。

先日、妹の娘が高校受験で志願校に合格したとの連絡があった。
彼女には進学にあたり自分の中で様々な葛藤があったようだが、
この大きな目標を達成することで自分の扉を開きたい、という強い意思が実を結んだ。
彼女はギターを弾きながら歌を歌うのが好きだと聞いていた。
日頃何もしてあげられないダメな叔父である僕は、合格のお祝いにギターをプレゼントした。
雨の中、ギターショップに二人で出かけ、たくさんのギターの中から彼女が選んだのは
素敵な「赤いテレキャスター」だった。
車で地下鉄の駅まで送った。
ギターケースを背負い「ありがとう!」と小さく手を振る彼女の後ろ姿は、羽根の生えた天使のようだった。

3月11日まであと一週間。
全国各地で桃の節句が祝われていることだろう。
そんな中、穏やかではない思いでこの日を迎えた方もたくさんいらっしゃることを思うと
複雑な思いを断ち切れない。
母から娘へ継がれる想いは変わらずに、今日この日が春の温もりを感じる優しい一日であってほしい。

我が家のひな飾りはこれから先、どのように継がれてゆくのだろう。
いつか娘に子供ができたときはまた、その柔らかな包み紙を開きながら何を語らうのだろう。
何も言わない小さな人形たちには、いつの日までも
「春よ来い、早く来い」と優しい音楽を奏でていてほしい。

赤いテレキャスターが自由の扉を開くように。


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夢、叶う。「GUITAR × SYMPHONY」

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また一つ、夢が叶う。

それはオーケストラとの競演。


オーケストラとロックの融合と言えば、古くはE.L.O.やロッケストラ、

メタリカとマイケル・ケイメンとの競演は大きな話題となりました。

記憶に新しいスティングのSymphonicity Tourも素晴らしいLiveでした。


僕は過去に故マイケル・ケイメン氏からの誘いを受け

1996年のアトランタ・オリンピックの閉会式セレモニー、

エリック・クラプトン氏の後任として同じくマイケル・ケイメンの「ギター・コンチェルト」への参加、

2005年には愛知万博での日本フィルハーモニー交響楽団との共演など

オーケストラとの共演を果たしてきました。

ソロとしてのデビューアルバム「ギタリズム」のオープニング「LEGEND OF FUTURE」をはじめ

オーケストラの重厚かつ華麗なサウンドを積極的に取り入れてきました。


今回のオーケストラの編曲、及び指揮を担当してくれるのは英国のサイモン・ヘイル氏。

彼は古くからの僕の友人であり、僕のほとんどのオーケストレーションは彼の手によるものです。

彼の初めてのオーケストレーション作品は「ギタリズムIV」のオープニング曲「TIME HAS COME」。

ABBEY ROAD STUDIOでのレコーディング当日、オーケストラを目の前に、

緊張と興奮で武者震いするように肩を震わせていた若き日のサイモンの姿を、

今でも鮮明に覚えています。

その後、ジョン・ウィリアムスを師と仰ぐサイモンはその天才的な才能を発揮し

ビヨークやジャミロクワイ、オアシスなど数々のアーチストの作品に参加。

ミュージカルや実験音楽など幅広い分野で活躍する、

英国を代表するオーケストラ・アレンジャーとなりました。


今回の『GUITAR × SYMPHONY』は、僕とサイモンの20年来の夢である

「ロックンロール・ギターとオーケストラで織りなす音宇宙」への大胆不敵な挑戦です。

この大いなる挑戦を日本のみならず世界中に届けたいと、強く願っています。


世界的な大ヒットとなった映画KILL BILLの主題曲「Battle without honor or humanity」をはじめ

フィギュアスケートの小塚崇彦くんの素晴らしい演技でもおなじみの

故マイケル・ケイメンとの思い出の作品「ギター・コンチェルト」や、

今まで作曲した数々のギター・インストルメンタルはもちろんのこと、

BEATの効いたロックンロール・ナンバーをBANDとオーケストラが一体となる大胆なアレンジで、

懐かしいBOΦWYのナンバーのオーケストレーション・バージョンにも挑戦したいと思っています。


どうぞ皆さん、この世界初演、

豪華でスペシャルな夢のライブをお見逃しなく!


布袋寅泰 GREATEST SUPER LIVE

GUITAR × SYMPHONY

HOTEI with THE ORCHESTRA

World Premiere

Powered by MINI ROADSTER.


日程 : 618() 619()

OPEN 18:00 / START 19:00 (両日とも)


会場 : 日本武道館

指揮 : SIMON HALE

Tokyo New City Orchestra


チケット一般発売 / 2012421()よりスタート

INFO : トゥモローハウス 03-5456-9155


福島の友。

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僕の人生の初めての福島の友達は「まこっちゃん」こと高橋まことさんだった。

BOφWY結成時、ドラムを募集するためオーディションが行われた。
記念すべきオーディションのトップバッターがまこっちゃんだった。
髪を突っ立てたパンク・スタイルを見て当時(今も)僕らより8歳も年上のまこっちゃんは緊張気味に

「高橋まことです!よろしくお願いします!」

と大声で自己紹介した。

今思えばあの「よろしく」は「よろすく」だったのだ。
まこっちゃんが加入してから、僕らの群馬弁は少し、福島(ふぐすま)なまりが混じり、
どこにも属さない空集合のようなイントネーションを醸し出すようになった。
(なってしまった)。

青春と呼ぶにはあまりにも強烈な、どん底からスターダムまでの道を4人で走り抜けた。

バンドが解散し、20余年の月日が流れ、2011年3月11日、大震災は起こった。

震災による被害の様子を報道を通じて知るたびに、胸が張り裂けそうになった。

そして原発事故により孤立した状態を強いられた「福島」の二文字を見聞きするたびに
まこっちゃんの顔を思い出した。
まこっちゃんのふるさとが泣いている。
きっとまこっちゃんも泣いている。
そして僕もまた、泣きたくなるのだった。

メルアドも知らないまこっちゃんがtwitterを始め、フォローし合った。
彼のひょうきんで底抜けに明るいtweetから、彼がふるさとの為に足を棒にして全国を走り回っている姿を知った。
昨年の渋谷公会堂公演にまこっちゃんが楽屋を訪ねてきてくれた。
「福島の為に是非力を貸して下さい!」と言われて僕は
「まこっちゃんのふるさとは、僕のふるさとです。なんでもします!」と答えた。

30周年のファイナル公演、さいたまスーパーアリーナに彼をスペシャル・ゲストとして招いたのは
集まってくれた1万2000人のオーディエンスに、そしてライブビューイングに参加してくれた全国の皆に、
まこっちゃんの思いを知ってもらいたい、という気持ちからだった。

本番直前に、高校時代応援団長だったまこっちゃんに、ステージから福島に向けてエールを送ってほしいと頼んだ。
「いいのかい?」と少し照れくさそうに言った彼だったが、アンコールの最後に立派なエールを送ってくれた。
その背中を見ながら僕は、また泣いてしまった。

その夜の打ち上げでまこっちゃんから
「福島でライブをやりたいので是非参加してほしい」
とお願いを受けた。
断る理由はどこにもなかった。

震災から一年余経った3月24日。
僕らはまた同じステージに立った。
それは「福島」という、僕らのふるさとのステージで、笑顔でBEATを分かち合った。

デビューして30年の間、僕らは日本中を駆け巡った。
どの町に行っても、僕らを、僕らの音楽を待っていてくれるファンがいた。

どの町も、僕らのふるさとだ。

日本が僕らのふるさとだ。

音楽の力を信じて、これからもふるさとの為に、ロックンロールをシャウトし続けたいと思う。

がんばっぺ!ふぐすま!

がんばっぺ!まごっちゃん!


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最初の桜。最後の桜。

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毎年桜が咲くたびに、心に風が舞うのです。

思い出が胸に咲き誇り、思い出が胸に散るのです。

幼い自分の手を握り、隣にいたのは着物姿の母でした。
幼稚園だったか小学校だったかは定かではないけれど、
まるでへその緒のように固い絆を感じさせるその手を放せば
無限の宇宙のような自由と孤独が待ち受けているような気がして
ぎゅっと握ればぎゅっと握り返す、その手が放れる瞬間が恐かった。
桜は何も言わずに、その瞬間を見つめていた。

高校も卒業もせず、夢を追って故郷を飛び出した若き頃。
卒業式のその日は、一人アパートでごめんなさいと呟いて
叶えてみせる、とギターをつま弾いた。
数年後、夢は叶い、そしてまた桜の頃に散りました。
バンドの卒業式は東京ドームでした。

海外を旅するたびに出会う外国の人は口をそろえて言いました。
「日本の一度でいいからCHERRY BLOSSOMを見てみたい」
日本人でいながら日本の美しさを伝える術を知らなかった僕は
桜がなんとも誇らしく、日本がなんとも誇らしかった。
桜は世界に咲く花なのですね。

病室の窓から桜を見たこともありました。
春が来れば当たり前に咲く桜が、なんと愛おしく思えたことか。
新しい桜を待たずに旅立つ人がいることを、忘れてはいけませんね。
義父は桜にも孫にも会えず天に召されました。
娘が生まれてからは毎年桜に向かって
「お義父さん、こんなに大きくなりましたよ」
と報告するようになりました。

大震災の起きた日、妻は「冬のサクラ」というドラマのロケ先にいました。
命の尊さを謳った物語の最中で多くの命が失われたことに心震え
どうかまたあの桜が咲きますようにと祈りました。
あの日、僕らにとって桜は命の象徴でした。

母の黒髪は、美しい銀髪になりました。
それもそのはず、息子は今年50歳になりました。
母の姿を見るたびに、また来年も桜に「咲いてほしい」と願うのです。

昔の人は満月の桜の下で自決を果たしたという言い伝えがあります。
生まれ変わりの儀式だったのでしょうか。
それとも美しき別れを、月と桜に託したのでしょうか。

出会いの桜。別れの桜。

最初の桜。最後の桜。

毎年桜が咲くたびに、心に風が舞うのです。

心に風が

舞うのです。




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オーケストラと共に!

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東京では桜も風と舞散り、ときおり冷たい雨が降ったりして、
本格的な春の陽気を待ちわびるこの頃。
皆さんお元気になさっていますか?
僕は元気です。

いよいよ6月18日、19日に日本武道館で行われる
『布袋寅泰 GREATEST SUPER LIVE "GUITAR × SYMPHONY"
HOTEI with THE ORCHESTRA』

の一般チケット販売がスタートしました。

今回のライブがどんな内容のものとなるのか?
ギターのインストルメンタルのみで構成されるのか?
ドラムやベースはいるのか?
ネクタイ着用で参加するべきなのか?
立ち上がって声援を送ってはいけないのか?
「ホテイー!」と布袋コールをしてもいいのか?
踊りたくても踊っはいけないのか?
途中でトイレに立ってはいけないのか?
感動して号泣してはいけないのか?

のか?

とか

なのか?

とか

たくさんの『???』の声が聞こえてきそうですが,,,

どうぞ御心配なく!

歌います!
最高のバンドと一緒です!
いつものように自分らしい服装で(ちょっとお洒落して!)
座ってゆっくり楽しんで欲しい曲もありますが(立ちっぱなしが辛い人もいないわけではないハズ)
心で「ホテイー!」と叫んで欲しいときもありますが、
踊れる曲では思いきり踊って、
踊りながらトイレに行くのは遠慮していただいて(笑)
号泣しながら笑って下さい!

オーケストラとの共演ということで、より華やかに、より艶やかに、
より繊細に、よりダイナミックに、布袋ワールドを存分に楽しんでいただけるよう、
BOΦWYのナンバーから、ソロになってからのおなじみのナンバー、
KILL BILLでおなじみのBATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITYやギター・コンチェルト、
熱いバラードからロックンロールまで、怒濤の選曲でお届けします!

前半はじっくりプログレッシブかつドリーミーな世界を、
そして後半は楽しく激しく光と音の世界を、
ギタリストとして、シンガーとして、そしてなにより素晴らしいオーケストラの一員として
この夢のような一夜を皆さんと共に楽しみたいと思っています。

編曲と指揮は英国の盟友、サイモン・ヘイル。
スターウォーズのテーマで知られるジョン・ウィリアムズを師と仰ぐ彼の
荘厳でファンタジックな魔法のような世界をご堪能ください。

スティングの日本公演での共演も話題を呼んだ東京ニューシティ管弦楽団、
そして新しいバンドメンバーとのスリル溢れるセッションもどうぞお楽しみに。

今回ワールド・プレミア(世界初演)と題した理由は
このスコアをもって、世界中のオーケストラとの共演を果たしたいという私たちの思いからです。

ギタリストがまたひとつ、夢を叶える瞬間を、どうぞお見逃しなく!

たくさんの皆さんとお会いできることを、今から心待ちにしています。

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布袋寅泰 GREATEST SUPER LIVE
"GUITAR × SYMPHONY"
HOTEI with THE ORCHESTRA ~World Premiere~
Powered by MINI ROADSTER.

指揮:SIMON HALE
Tokyo New City Orchestra

日程:2012年6月18日(月)・19日(火) 
開場 / 開演:18時00分 / 19時00分(両日とも)
チケット料金(全席指定):SS席 ¥12,600(税込) / S席 ¥8,400(税込)
チケット一般発売:2012年4月21日(土)よりスタート
INFO : トゥモローハウス 03-5456-9155

LIFE IS CHALLENGE

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ずっと夢を追いかけて生きてきました。

ロックと出会い、ギターと出会ったその時から僕を支え続けてくれたのは
「いつか必ず夢を叶えてみせる」という固い信念でした。
夢を追えばこそ、どんな苦難をも乗り越えてこれた。
そして本年50歳を迎えた今もなお、その夢は僕を奮い立たせて止まないのです。

それは世界への夢

2012年、夏。

居を英国に移すことを決心しました。

活動30周年を期に歌い奏でた「Dreamin'」。
20代はじめに「自分は自分らしく、堂々と夢を追い続けたい」という思いを込めて作った曲です。
「OH Yeh I'm only Dreamin' I'm only Dreamin' for me」
その一節をオーディエンスと心重ねて歌うたびに
「夢をあきらめてはいないか?」と胸に問う自分がいました。
そして最後の「I'm only Dreamin' for you!」とシャウトするとき
「夢こそすべて」と、誰かに伝えていくことこそが自分に与えられた使命だと
改めて確信し、強く胸に誓ったのです。

 幼い頃、書斎で地球儀を指で回しながら、今は亡き父は言いました。
「寅泰くん。世界は広いんだぞ」と。
そして今、成長した我が娘に伝えたいこともまた同じ。
「世界は広いんだよ」という一言に尽きるのです。

七つの海を越え夢を追いかけていた偉人たちにはほど遠いながらも
自分も夢追う人の一人でありたい。
30年という長い滑走路は、今まさに翔ぶためにあったのだと信じています。
 
6月の日本武道館「GUITAR × SYMPHONY」公演は、生涯忘れられないライブとなることでしょう。
旅立つ前に沢山の皆さんと最高の思い出を共有できることを、心から幸せに思います。
その後日本を離れますが、今まで同様、いや、今まで以上に
日本での活動も充実させていくつもりです。
 
そして!
12月18日にはLONDON「Roundhouse」でのライブが決定しました。
ロックの発祥の地ロンドンで、一から腕試しをしたいと思います。
ロンドンの皆さん、どうぞお楽しみに。
 
伝えたいことをすべて言葉で表わすことはできませんが、
そのすべてを今後の活動を通じて皆さんにお伝えしたいと思っています。
 
LIFE IS CHALLENGE

そう。人生は挑戦です。
50歳からのスタートをどうか温かく見守ってくださいますように。
 
わがままを受け入れてくれたスタッフ、関係者の皆さん、
そして愛すべき家族に心から感謝しています。
 
そしてファンの皆さん、今まで本当にありがとう。
そしてこれからも末永く、よろしくお願いします。
 
布袋寅泰


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LIFE IS CHALLENGE


I've been chasing my dreams throughout my life.

Since the day I was fascinated by rock music and the magic of guitar,
 I've been always motivated by a belief "someday, I'll make my dreams come true".
With its determination, I could get over with many situations I've faced in quest for the dreams.
At the age of 50, I'm again motivated by the dream and just can't let it go.

It is the dream to get into "the world".
In summer 2012, I am going to relocate to the United Kingdom.

"Dreamin' " was one of the songs I've performed at my 30th anniversary tour.
It was originally written when I was in my early 20s', to encourage the emotion,
 "to be one's self, keep chasing the dream with pride".
Every time I refrained with the audience,
"OH yeh I'm only Dreamin'  I'm only Dreamin' for me",
I was asking myself "have I been chasing the dream lately?".
Also when I shouted at the end of the chorus, "I'm only Dreamin' for you!",
 I have realized that I'm standing in front of the audience to appeal
"dreaming with pride is so precious".
It has been kept in my heart as a promise.
     
When I was a kid, my father who've already passed away used to show me a globe
in his study and said "Tomoyasu, the world is much bigger than you think".
Now being a father, I want to tell my daughter the same thing,
"the world is much bigger than you could ever imagine".

It was said great men sailed away the seven seas to chase
their dreams in ancient times.
I know I'm not a great man, but at least I want to be a dreamer.
I believe last three decades was to build a runway for me to take off now.

Upcoming "GUITAR × SYMPHONY" concert at Budokan in June will definitely be
an unforgettable show in my life, and I'm so honored to be able to share
the greatest memory with many of you in prior to my departure.
I will leave Japan after this concert, but I promise to keep in touch with
my dearest fans in every possible way.

On December 18th, the show at "Roundhouse" in London has also been scheduled.
I am going to enjoy the show at the birth of rock music as a new artist
with hidden confidence.
I look forward to meeting with many Londoners at the venue.

I just can't say enough how I feel, but I will express it through my music in the future.

LIFE IS CHALLENGE

I'd appreciate if you could watch over my departure at the age of 50,
and thank you for all my staff, the parties concerned and
my beloved family who accept my will.

To all my fans, I really thank you for your support and we'll keep in touch!


All the best,

Tomoyasu Hotei

DAVID BOWIEとの共演から16年、夢再び。

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英国への移住発表後、たくさんの方々から温かい応援メッセージをいただきました。
この場をお借りして御礼申し上げます。
ありがとうございます。

先日、いつものように愛犬ルーリーとの早朝の公園に散歩にでかけた時のこと。
数年間「おはようございます」と朝の挨拶を交わし合った清掃係の男性が
「イギリスに移られるんですって?淋しくなりますねぇ」とお声がけくださった。
「ワンちゃんは外国生活に馴染めますかねぇ?」と訊かれ
「彼女はまだ英語で1までしか数えられないんです」と答えたら笑ってらした。

長年通わせていただいている日本料理のお店では大将とおかみさんが
「寂しくなるねぇ。帰ってきた時はまたお顔を見せて下さいよ!」
と優しい言葉をかけて下さる。
その横ですっかり立派になられた息子さんが「いつでも待ってますから!」と頼もしい笑顔を送ってくれる。
何気ない日常の中に、多くの心温まる人々との繋がりがあることにあらためて知るたびに
いつもの風景が、そしていつもの何気ない会話がたまらなく愛しく思える今日この頃です。

しかしながら前回のブログでも書いた通り、居は移すものの、日本での活動は今まで通り精力的に行うつもりです。
なんだか帰りづらい感じになってきた?まだ居たの?とか(笑)
どうぞ皆様、今後も今まで同様、よろしくお願い致しますね。

前回のブログでは『夢』についてお話ししました。
今まで、たくさんの夢を叶えてきた。
その中のひとつに憧れのロックスター、DAVID BOWIEとの共演があります。
共演と言っても、幸運なことにジャパンツアーの武道館公演の前座をやらしてもらうチャンスをいただき、
長年の想い余ってDAVIDさんへ「一緒に演らせてくれませんか?」とお願いの手紙を渡した翌日の楽屋で
「HOTEIさん!今夜はどの曲を一緒に演ろうか?」
そう、寛大な彼は僕の夢を叶えて下さったのです。
1996年6月5日、日本武道館。
その日のことを僕は一生忘れません。

先日発売された200冊限定の写真集
『鋤田正義×DAVID BOWIE/SPEED OF LIFE』 http://www.genesis-publications.com/
に、その日武道館の楽屋で撮影された僕とDAVIDさんの写真が掲載されているとのこと。
まだ入手していませんが、これもまた夢のような出来事です。
僕の夢を作品という形で永遠に残してくださった鋤田さんに心から感謝いたします。


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                                                                            (PHOTO by 鋤田正義)

そして、あれから16年。

2012年の6月18日、19日、場所は同じく武道館。

またひとつの夢が叶います。

そう、オーケストラとのライブです!


参加してくれるミュージシャンが決定しました!

ドラム Ian Thomas(イアン・トーマス)。
ERIC CLAPTONやSTING他、英国のスーパースター達が信頼を寄せる名セッションプレイヤーです。

ベースには Jerry Meehan(ジェリー・ミーハン)。
2010年のフジロックで共演したROXY MUSICのサポートメンバー。
彼もまた数々のアーチストとのコラボレーションで英国の音楽シーンには欠かせないベーシスト。

日本からはプログラマーとして岸利至くんが参加してくれます。
オーケストラとバンド、そしてコンピューターのモダンなサウンドが融合します。

このコンサートに賭ける意気込みは、下記のインタビューをお読み下さい。
「布袋寅泰/オーケストラと共演するスーパーライブについて語る!」
http://music.emtg.jp/special/201205015050c9ebb

ロックロール VS オーケストラ!

開演日が迫ってまいりました!


チケットは下記までお問い合わせ下さい。

多くの皆さんのご来場を、オーケストラと共にお待ちしています!


[問合せ]
トゥモローハウス
TEL : 03-5456-9155

[プレイガイド]

【チケットぴあ】
0570-02-9999

【ローソンチケット】
0570-084-003

【イープラス】
http://eplus.jp(PC・mobile)


紫陽花、作曲、ロックオペラ、英国大使館、COMPLEX。

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6月。
紫陽花がまるで小さなオーケストラのような花を咲かせ
雨がしとしとと優しい今日この頃。
相変わらず慌ただしくも充実した毎日を送っています。

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新作に向けて自宅スタジオでの曲作りも順調で10曲ほどのデモが出来上がりました。
完成するのはまだまだ先ですが、30周年アニバーサリー・イヤーを経て
改めて「自分らしさ」にこだわった内容にしたいと思っています。
自分の持ち味であり特徴的なカッティングをフューチャーした曲が多いかな?
それとは別にあっと驚く秘密のコラボレーション企画も進行中です。
どちらもどうぞお楽しみに。

『スリル』『ポイスン』『バンビーナ』をはじめ数々の作詞を担当していただいた友人である
森雪之丞さんの長年の夢であったロックオペラ『サイケデリック・ペイン』では
音楽を担当させていただいています。
演出は僕も大好きな劇団☆新感線のいのうえひでのりさん。
破天荒なシナリオを福士誠治くん、北乃きいさん、綾野剛くん、片瀬那奈さん、
内田朝陽くん、前川紘毅くん、松田翔くん、内田慈さん他、
素晴らしいキャストの皆さん達がどのように歌い、演じてくれるのか、今からとても楽しみです!
たくさんの情報がオフィシャル・ホームページにアップされています。
是非ご覧下さい。
そしてたくさんの皆さんのご来場をお待ちしています。
http://psychedelic-pain.jp/

6月6日は駐日英国大使館において行われた『エリザベス二世女王陛下即位60周年記念祝賀パーティー』に招かれ
なんと光栄なことにギター・パフォーマンスをさせていただきました。
ディビッド・ウォレン駐日英国大使から
「英国に移られてからも日本と英国の文化交流のため力を発揮してください」
とエールを頂戴しました。
英国の2012年は女王陛下の60周年、ロンドン五輪、ストーンズの50周年!と眩いほどに輝いています。
活動30周年、そして50歳を迎えた自分の人生の転機とも言える英国移住と重なり
忘れられない年となりました。
私事ながら6月6日のロックンロールの日は結婚記念日でもありました。
夫婦で参加したこの夜の事を、私たちはずっと忘れないでしょう。
大使館の皆様、素晴らしい機会を与えて下さって、本当にありがとうございました。
パフォーマンスの模様は英国大使館ホームページでご覧になれます。

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7月30日にリリースされる『COMPLEX 20110730』Blu-rayにはスペシャル特典として
東京ドームの2日目のLIVE CDが付きます。
初日は独特の緊張感がありましたが、2日目は二人ともリラックスしていて演奏全体が大きなうねりを感じます。
こちらの作品は予約限定販売です。
6/20の〆切を過ぎると手に入りませんので、御興味のある方は早めの予約をお勧めします。
そのライブ・ミックスの為、久しぶりに吉川晃司くんと会いました。
「焼き鳥でもいこうか?」とぶらりと街へ。
思い出話もいいもんです。

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となんだか宣伝ばかりになってしまいましたが、公私ともに充実した毎日。

いよいよ来週は英国からバンドが到着です!
6月18日、19日、日本武道館で行われるコンサートのリハーサルが始まります!
チケットの余裕があるとのことですから、今からでも間に合います!
素晴らしい音宇宙を覗きに、是非お出かけになってくださいね!

とまた、宣伝になってしまいましたが、
皆さんも素敵な毎日をお過ごし下さいね!




いよいよオーケストラと武道館へ!

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2日間のバンドリハーサル、そして3日間のオーケストラとのリハーサルが無事に終了し
いよいよ明日から武道館『GUITAR × SYMPHONY』の本番です!

記念すべきソロデビュー作「ギタリズム」の一曲目はオーケストレーションによる
「Legend of future」という壮大なオーバーチュアでした。

その後の作品にもたくさんのオーケストレーションを取り入れてきました。

そんな、今まではCDでしか聞けなかった曲の数々が、
明日、明後日は生のオーケストラの芳醇で迫力のある演奏とともに初めて聞いてもらえます!

さらに、意外な曲がスタジオ録音とは全く違う形で聴いてもらえるのも楽しみです。

サイモン・ヘイルの緻密で壮大なアレンジを、東京ニューシティ管弦楽団の皆さんが見事に再現してくれます。
英国からのメンバー、イアン・トーマスのドラムはパワフルでソリッド、
ジェリー・ミーハンのベースもきめ細かく、オーケストラとの相性もピッタリ。
岸くんのサウンド・トリートメントがモダンな味付けをしてくれています。

スタジオに集まった関係者たちも素晴らしい演奏を聴いて
リハーサルにも関わらず驚きと感動の拍手が鳴り響くほど。
涙を流してくれた人もいたほどです。

サイモンも「英国のオーケストラよりパワフルで緻密だ!」と
東京ニューシティ管弦楽団の素晴らしさを賞賛しっぱなし。

今まで数多くのライブを経験してきましたが、このギター×シンフォニーは
生涯忘れる事の無い素晴らしいものになると確信しています。

どうぞ皆さん、時に目を閉じて、そして時には音のシャワーと共にすべてを解放して、
この夢のようなコンサートを大いに楽しんで下さい!

武道館でお会いするのを、心から楽しみにしています!!!

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                                                                            (Photo by 山本倫子)

ROCK WITH MINI !!!

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武道館シンフォニーの御礼も書けず申し訳ない!

サポートしてくれたミュージシャンやオーケストラの皆さんはもちろん、
沢山の皆さんの御協力によって、新境地を開くことができました。
武道館に足を運んでくださった皆さん(特に二日目は台風による猛雨でした)
本当にありがとうございました!
GUITAR X SYMPHONY。
いつかまた必ずやりたいと思います。
その時は「オーケストラとのライブだから...」などと踏みとどまらずまた、
沢山の皆さんに楽しんでいただけますように。


武道館の入り口でも展示されていたMINI COOPER HOTEI MODELが
BMW Group Studioにて特別展示スタートです!

究極のエキサイティングを目指して革新を続けるMINI。
日本での販売10周年となる今年、布袋寅泰とのコラボレーションが遂に実現!
「これぞHOTEI!」の『GUITARHYTHM柄』や、鮮烈な印象の『BLACKFIRE』が
見事に融合したMINI渾身のコラボレーションカー。

撮影時にじっくり細部まで見せて触らせてもらいましたが、
本当によくできている!!!

JR東京駅のすぐそばですので、お近くに来た方は是非ご覧ください。

■展示場所
BMW Group Studio
HP: http://www.bmwgroup-studio.jp/

■展示期間

2012年7月3日(火)~7月18日(水)

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Londonでの新生活がスタート。

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庭の林檎とプラムの木から、ほどよく赤く色づいた実を捥いで

水で洗ってそのまま頬張ることから私たちの朝が始まる。

風に揺れるラベンダーがさわやかな香りを放ち

空を見上げればどこの国からか飛んできた飛行機が真っ白いラインを描く。

キッチンではチャイコフスキーの音楽に合わせて娘が踊っている。

僕の作ったブレックファーストを家族が美味しい、と言って食べてくれる。

ロンドンでの生活がそっと静かにスタートした。


プロになって世界中を旅することを夢見て上京したのは32年前、18歳の時だった。

高層ビルのそびえ立つメガシティー東京で震えるように眠った記憶は今も生々しい。

池袋の裏路地の小さなアパートには風呂もトイレもなかった。

夜中に生音でエレキギターを弾いていると顔も知らない隣の住人から壁をドスンと蹴られた。

都会のルールに従って心で叫び、心で奏でたロックンロール。

息を殺して潜むように夢を喰らって生きるモンスターのように、

僕は何度も脱皮を繰り返しながらギターという剣をかざし、自分の道を切り開いてきた。

僕に大いなる試練とチャンスを与えてくれた東京から出てゆく心境は

ギターを片手に故郷を飛び出したあの日とよく似ていた。

淋しさと同時に胸は高まり、別れと出会い同時に訪れ、不安と希望が交錯して

世界で一番孤独な人間になったかのような錯覚を覚えたものだが

今、僕は独りではない。

多くの人に見送られ旅立つ、世界一幸せな人間だ。


2012年はロンドンの年だ。

女王陛下即位60周年、ロンドン五輪。

世界中に映し出されたロンドンの美しい街並と、人々の誇りに満ちた表情はきっと

今まで持たれていたロンドンの憂鬱なイメージを大きく変えたのではないだろうか。

「天気が悪くて食事が不味いんでしょう?」

と、一度もロンドンを訪れたことのない人も口を揃えてそう言うが、

確かに晴天ばかりではなく、一日の天気予報は

「晴れのち曇りのち雨のち所により雷、のち晴れのち曇りのち雨」

と、まるで週間予報のようにダイナミックなものだ。

これを書いている今も、さっきまでジリジリするような日差しに上半身を脱ごうかと思いきや

10分後の今はフリースを羽織りたいくらいほど冷え込んできた。

しかしこの気まぐれな天候もロンドンの良さでもあるのだ。

「come rain or come shine」

この豊かな雨とささやかな日差しが街の緑を育み、人々の心模様を彩る。

食に関しても、確かに日本のような繊細で行き届いた食文化とは比べられないが

素材を活かしたレシピや豊富なフルーツ、世界中の人種と文化と融合したカラフルな味覚との出会いは

ロンドンの大きな魅力のひとつであると言えよう。

ギターはもちろんのこと、料理の腕を磨くのも、僕の大きな楽しみでもある。


東京での生活はこの上なく快適、且つ合理的なものだった。

ネットショッピングでオーダーしたものは翌日には配達される。

消費者の立場は強く、問題が起きた際には迅速な対応がなされる。

日本人ならではの勤勉さとホスピタリティーは世界に誇る暮らしを生んだ。

しかし当たり前のことが当たり前でないとイライラするようなこともある。

快適であることが当たり前であることは、怖いことだ。


ところ変わってロンドンタウン。

当たり前のことが全く当たり前ではない。

怒りやイライラの前に笑ってしまうようなことがたくさんある。

しかし今後はこの当たり前ではないことを楽しみたいと思っている。

30年間の東京の暮らしで得たものは多く失ったものなどないにせよ、

味わうことを忘れていたものはたくさんあると思う。

一昨日さっそく、近所のマーケットに買い出しに行き、

突然の猛雨に見舞われるという洗礼を受けた。

両手に買い物袋をぶら下げて頭の先からつま先までびしょ濡れになったのはいつ振りだろう。

笑いながら雨に濡れたのはいつ振りだろう。

人目を気にせず雨の中、小躍りしたのはいつ振りだろう。


50年も生きていると日常の物事の大概の結末は予測できるようになるのものの

予想外の結末を期待する自分がいたりもする。

人生思い通りになどなるはずもなく、少し横道に逸れても何か面白いことに出くわしたい。

波風立たぬ穏やかな時間や、日々の小さな習慣の繰り返しが愛おしいのとは裏腹に、

もう一度、激しく波立つ海原に船を浮かべたい、と思うのは男だけの無謀な欲望か。


もちろん無謀な旅に家族を道連れにするつもりはない。

風に打たれ雨に濡れ凍えるのは僕一人でいい。

そこまで大げさな旅立ちでもなければ、先が見えない航路でもない。

しかしこうしてギター一本を担いで旅に出ると胸に眠らせていたものが騒ぎだす。

人生は一度きりの夢。

良い夢をみて、おやすみと言いたいだけ。


キッチンの窓辺では薔薇の花束が雨を見つめている。

「薔薇と雨」という曲を作ったのも、そう、Notting Hill Carnivalが行われるこの時期だった。


薔薇のような日々を送りたい、とは思わない。


しかし薔薇のように情熱的に生きたいと思う。


僕の人生は第何章を迎えたのだろう。


どんなストーリーが待ち受けているのだろう。


今後の展開を皆さんもどうぞ、お楽しみに。




もう一度夢をみよう。

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ヴァージンアトランティック航空 VS900便。

ロンドン~東京へのこの便に今まで何度も乗ったが

今回の帰路は感慨深い思いでいっぱいだ。



2012年8月終わり。

渡英を決意してから約一年。

いよいよその決意を実行に移す日が来た。

僕はスーツでネクタイをぎゅっと締めて、家族とともに成田空港に向かった。

大いなる旅立ちの日だ。ビシッとしていたかった。

空港に向かう車から見える風景も今までとは違って見える。

夢を叶える為に故郷の群馬を飛び出した10代のあの日のことを思い出した。

空港には小渕君と友人が見送りに来てくれていた。

搭乗時間となり窓から景色に手を振った。

離陸し地面から機体が離れてゆく。

胸の底からこみ上げるものを感じながら一席向こうの美樹さんの後ろ姿を見ると

肩が震えているのがわかる。

それを見た娘が「ママ、パパ、手を貸して」と言った。

二人の手を握って彼女は言った。

「行ってきまーす!って元気に言おうよ!」

父母と一緒に涙を流してしまうのを拒むかのような力強く、優しい一言だった。



ロンドンでの生活はまさに毎日が冒険と挑戦の連続。

今まで幾度もなく単身で訪れた馴染みの深い街とは言え、

家族とともに住民として暮らすのは初めての事だし、旅行者気分というわけにはいかない。

VISAや運転免許、学校の手続きや生活圏の情報収集エトセトラ、エトセトラ...。

何より全く新しい環境に娘が順応できるか?

そして英語にまだ苦手意識がある美樹さんがストレスを抱え込まないか?

それが心配だったが、学校が始まり、お友達もできた娘は活き活きとした表情を見せはじめ、

美樹さんは週末に開かれるオーガニックマーケットでお目当ての野菜を注文できるようになったし、

近所のフレンチ・カフェで小銭が足りない時

「マダム、足りない分は次回で結構ですよ!」と言ってもらえるようになった!


ロンドンは大きな公園も然り、街中が自然に溢れている。

高層ビルの隙間から月を眺めていた都会での生活とは大きく異なる。

近所の池では二羽のは白鳥がワルツを踊っている。

我が家の小さな庭では愛犬ルーリーとリスが追いかけっこしている。

(機敏でしなやかな身のこなしのリスにルーリーが追いつく事はないのだが...)

毎朝、庭の木に生ったリンゴやプラムをもぎ取り頬張る。

洋梨が毎日少しずつ減ってゆくのを不思議に思っていると、

ある日ルーリーが口の周りをペロペロしながらコソコソしている姿を見つけられ犯人がバレてしまう。

サマータイムは夜の10時頃まで空は明るく、ついついワインが進んでしまう。

美味しいチーズやオリーブ、形は悪いが色も味も濃いオーガニックなサラダがあれば

手頃なテーブルワインがとっても美味しい。

「英国の食べ物は不味い」と誰もが言うが、僕は全くそうは思わない。

オーガニックという意識が根付いた彩りに溢れた食生活は、不味いどころか逆に豊かに思えることもある。


ルーリーと近所の公園や森を散歩することから僕の一日が始まる。

約一時間の散歩&ジョギングから帰ってくるとルーリーも、そして僕のスニーカーも泥だらけになっている。

東京のアスファルトではスニーカーはいつまでも新品だ。

ご存知の通り、ロンドンはよく雨が降るが(ほぼ毎日?)日本のように一日中降っていることはない。

多少の雨なら傘もささない英国人を不思議に思っていたが、今は僕も気にしない。

傘の代わりに防水加工が施された帽子やジャケットが重宝する。

天気予報でも雨のことをシャワーと呼ぶが、スプリンクラーのような適量の雨が自然を豊かにしているのだろう。

出かける時は真っ暗だった空が、帰る頃には別の日のように晴れ渡っている。

青空に誘われ鼻歌まじりで出かけると、途中でホラー映画のような雲が覆い被さる。

こんな天気の風土だから、ミュージカルが生まれるのかもしれない。


娘は学校でラテン語を、そして歴史の授業ではローマ時代を学んでいる。

家で突然「これってラテン語で何て言うか知ってる?」なんて聞かれると父母は黙るしかない。

タクシーに乗れば運転手から「Where are you came from?/あたなは何処から来たのですか?」

と聞かれ「日本からです」と答え「あなたは?」と尋ねると

「ブルガリア」「ケニア」「スロバキア」「インド」「ジャマイカ」など、いかに多くの多国籍人種が

この街に住んでいるかを知る。

人種とは文化であり、文化とはコミュニケーションであり、この街が世界に繋がっていることを感じる。

日本では考えられないような光景を目の辺りにすることもよくあるが、

秩序に縛らることなく、自由を共有する為のルールを守ることに慣れているのか、

嫌な気分になるどころか、思わず笑みがこぼれてしまうことが多い。

と同時に、日本の繊細な文化や日本人の心を思い出すと、いかに日本が時別な国かということを痛感する。

娘にはそんな日本人の美しさを忘れずに、大胆な世界人に育ってほしいと願う。


先日ローリング・ストーンズの50周年記念ライブを家族で観に行って来た。

本場ロンドンで観るストーンズは格別だった。

女王陛下のダイアモンド・ジュビリー、そしてロンドン五輪でも世界中が拍手を送った

イギリスが「ロックンロール帝国」であることを、50歳を迎えた恐竜たちが証明した。

一人のロックファンに戻りグッズ売り場の列に並んだり、客席ではオーディエンスと共に拳を突き上げ

「I know, It's only rock'n roll but I like it!/たががロックンロールとは知っているけどそれが好きさ!」

とシャウトすることで、身体の中に突風のような風が吹くのを感じた。

規模はもちろん違うものの、「ああ、こうして自分の30年間もオーディエンスと繋がっていたんだな」と

思うと、いかに自分が幸せであったか、

そして自分にとってステージがいかに大切なものであるかということを改めて考えさせてくれた。

若き頃は「ストーンズは好きじゃない」なんて言っていた自分だが、今はストーンズに夢中だ。

いや、今もロックンロールに夢中だ。


そんな最中、僕は4年振りのオリジナルアルバムのレコーディングを行っていた。

東京で録音されたリズムトラックをベースに、ギターや歌、そしてストリングス等のダビングを

ギタリズム2を録音した思い出のメトロポリス・スタジオで行った。

今までのロンドンレコーディングはいつもスタッフと一緒だったが、

今の音楽制作を取り巻く環境は厳しく、そんな余裕はない。

一人でミニクーパーを運転してスタジオに通い、イギリス人エンジニアとアシスタントの三人で

黙々と作業を行った。

ある日、夜中を過ぎての帰宅中、ラジオをつけるとT.REXのご機嫌なブギーが流れた。

夜空の大きなオレンジ色の月を追いかけてドライブしていると、ヘッドライトの先に影が現れる。

スピードを落とし影を追いかけるとそれは狐だった。

沿道に車を止め、狐のそばにそっと近づく。

美しいシルエットが月の光に映し出され、絵画のような幻想的なシーンを忘れられない。

レコーディングの最終日は普段ならスタジオで乾杯するところだが、

自分で機材を搬出しなければならず、乾杯はコークになった。

生憎の雨の中びしょ濡れになりながら、ランドローバーでギターやアンプなどを搬出したの

このアルバム・レコーディングの良き思い出となるだろう。



サマータイムが終わり冬時間が来ると、朝は8時になっても暗く、午後3時半にはまた暗くなる。

寒くて暗くて憂鬱な季節、渡英して慣れるまではストレスにやられてしまう人も少なくないと聞く。

時に我が家の朝も例に漏れず、ママと娘が冷戦を繰り広げることもあるが、

夕方学校に迎えに行く頃には異国の戦士達、熱き包容で互いを励まし合う。

最近は氷点下の朝もあり、手袋や耳当ても欠かせない寒い毎日が続くも

夜、キッチンに温かなスープの香りが漂い、ルーリーのご飯皿にもディナーが注がれる時間になると

我が家は寒さを忘れ、一日のそれぞれを労う大切な時間を迎える。

深まる夜に暖炉にともる炎を家族で見つめながら

「あったかいね。こんなあったかい冬は初めてだね」

と語りあうかけがえのない時間。

マーケットで買ったクリスマスツリーの横でルーリーが吐息を立てている。

今年はサンタクロースに何をお願いしようか一生懸命考えている娘が愛しい。



12月18日。


約20年振りのロンドンでのライブ。

場所はカムデンタウンのラウンドハウス。

朝のジョギングでふくらはぎを痛めてしまい、会場入りの際は足を引きずっていたのだが、

きっとこれも何かの意味があってのことだろう、と気持ちは下がらなかった。

今回のライブはゴールではなくスタートだ。

30年のキャリアのある日本のベテランも、ここロンドンではただの新人だ。

観客はもちろんのこと、招いたメディアやプロモーターに品定めをしてもらうための大切なライブ。

是非とも来年のヨーロッパでの活動に繋げたい。

そんな思いも含めインパクトのあるステージを、と日本からグラマラスなミュージシャンを招いた。

中村達也、TOKIE。そしてHOTEIサウンドの要、岸利至。

照明クルーとギターテック、そして現場周りの日本人スタッフと、

イギリス人スタッフとのチームワークもバッチリだ。

一曲の「キル・ビルのテーマ」からステージが始まると予想以上のモニター環境の難しさに動揺するも気合いは充分だ。

目の前には日本からはるばる来てくれた100人を越えるファン、そして英国在住の日本人の皆さん、

観客の半分以上は日本人だったが、その中に見える多くのインターナショナルな観客の顔。

一曲ごとに反応は高まり、アンコール最後の「Fly into your dream」のソロが終わった時には

会場は大きな拍手に溢れ、このコンサートが大成功であったことを実感する。


楽屋に戻り、高揚する気持ちを抑えるかのように、鏡に写る自分にこう誓う。


いよいよ始まった。

夢の続きを見よう。

そして叶えよう。


終演後、関係者の集うバーにはたくさんのミュージシャン達の姿があった。

ロキシーミュージックのアンディ・マッケイとフィル・マンザネラ。

マッドネスのボーカルサッグスや、ティン・マシーン/David Bowieバンドのリーヴス、

アポロ440やNeal Xなどのレニー・ザカテックなどの古き友人達との再会も嬉しかった。

インコグニートのブルーイや元ストーンズのビル・ワイマンも来てくれたと聞いた。

誰もが最高のショウだったと肩を叩いてくれたのが嬉しかった。

もちろん色々乗り越えるべき課題も多く、完璧なライブとは言い難かったものの

経験なくして学ぶことのできない多くを感じることができた貴重な体験。

ここからまた新たな物語がスタートするのだ。

喜びも悔しさも、決して忘れない。



そんな2012年がもうすぐ終わろうとしている。


 2月 さいたまスーパーアリーナ。50歳の誕生日記念ライブ。

 6月 武道館。念願のオーケストラとの共演。

 8月 英国移住。

12月 ロンドン。ラウンドハウス。


この一年を僕は一生忘れないだろう。


10年後、60歳を迎えることができたら、50歳の決断を褒めてあげたい。

ギターを担いで世界中を旅しているだろう。

大きく育った娘が巣立つその先が大きな世界であることを信じたい。

その頃、ルーリーはもういないかもしれない。

しかし共に海を越え、ロンドンの川のほとりを走った日々を忘れはしない。

美樹さんとは手を繋いで公園を歩いていたい。

また冬が来たら暖炉を見つめて「今年もあったかいね」と語り合いたい。


あなたは10年後、なにをしていますか?


それは誰にも判らない。


自分が生きているとも限らない。


だからこそ、夢を追いかけていたいんだな。


もう一度夢を見よう。今を生きた証に。



ある朝、娘がキッチンで鼻歌を歌っていた。

「I know, It's only rock'n roll but I like it!」

ミックのような軽やかなステップを踏みながら。


それを見て、僕は涙が溢れた。


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                                                                   Photo by 山本倫子


ただいま、東京。


しかし僕らの帰る場所は、ロンドンだ。





















セルフ・ライナーノーツ「COME RAIN COME SHINE」

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 最新作「COME RAIN COME SHINE」についてお話ししましょう。
 オリジナル・アルバムとしては「ギタリズムV」から約4年振りとなる本作は、アーチスト活動30周年アニバーサリー・イヤーを通して感じた様々な思いと共に綴った「布袋寅泰第二章」のスタートにふさわしい、最新にして最高の一枚に仕上がったと自負しています。
 30周年では、僕のギタリスト、そしてソングライターとしての原点であるBOØWY、そして復興支援ライブで久しぶりに同じステージに上がった吉川くんとのCOMPLEX、ソロ・デビューアルバムのギタリズムから試行錯誤の繰り返しを経て現在のスタイルに至るまでの過程を、ギタープレイを通じて再確認することができました。それはこの「COME RAIN  COME SHINE」に強く反映されていると思います。
 今まで意識的に封印していたBOØWYの頃のような曲作りやサウンドアプローチなど、今改めて自然に受け入れることが出来たのも、30年後という長い年月を経たからこその原点回帰と言えるかもしれません。
 インタビューではなかなかお話しする機会のない各曲に込めた想いや、ギタープレイ、サウンド、そしてレコーディング裏話などを書き連ねたいと思います。
 2月6日にリリースされるアルバムを想像しながら、そしてお手元に届いた時には、曲を聴きながら楽しんでもらえますように。
 
 それでは一曲目から御紹介しましょう。

1)Cutting Edge (作詞/いしわたり淳治)

 この曲を一曲目選ぶには少し勇気が必要でした。というのも今作にはキャッチーなイントロやサビ、ワクワクするようなビートなどいわゆる万人ウケしそうな曲もたくさんある中、いきなり飛び出す難解な歌詞のリフレイン、抑揚をおさえたワンコード進行とリズムなど、言ってみれば少しマニアックな曲であえて選んだ理由は一つ。僕のギタースタイルを象徴するシャープな切れ味のカッティングからスタートしたい。これは前回のツアー中に心に決めていました。BOØWYの「BAD FEELING」やCOMPLEXの「二人のAnother Twilight」などの乾いたファインキーなカッティング・リフは、ギタリスト布袋の最大の特徴として皆さんの記憶に残っていることと思います。僕の職業はギタリスト。しかしテクニック的には決して上手いギタリストではない。かといって音に味があるタイプとも言い難い。オールド・スタイルの古き良き時代を感じさせるギタリストでもないし、評価しづらいギタリストだと思います。しかし独自のスタイルを持っているギタリストということだけは、皆さんに伝わっているのではないかと思っています。
 14歳の時マーク・ボランのポスターを見て「カッコイイ!」という理由だけでギターを選び、今もそれだけの理由でギターを弾いています。ギターはカッコいいもの。それぞれの理由や解釈は違えど、これは万国共通どころか人類共通のものです!チューニングの仕方も知らなかった僕が初めて弾いたのは誰かの曲ではなく『Beat』でした。一番太い6弦を不器用に握ったピックで「ビン、ビン、ビン!」とリズムを刻んだとき、僕の心は踊りだしました。その後はビートルズやストーンズに始まって、ハードロックやプログレなど様々なレコードを聴きながらも、僕はいつもその音楽の中の踊りだしたくなるようなギターの音を探していました。高校生で黒人音楽と出会い、レイ・パーカーJr.やワー・ワー・ワトソン他、黒人のファンクギタリストに夢中になり、僕の理想のギタリスト像は「マーク・ボランのようなグラムな衣装で、黒人のようなファンキーなカッティングを、クラフトワークのビートをバックに踊りながら弾くギタリスト」という何とも奇妙なものでした!
 この曲の使用ギターはおなじみの白黒幾何学模様の「HOTEIモデル」、ソロはサスティニアック搭載モデル。アンプは20年前にロンドンでQUEENのブライアン・メイのギターテックの方を通じて購入したマッチレス。今回このアンプは里帰りを果たしました。イントロからフィルインして躍動的なリズムが絡むところ、そしてリイントロ1分34秒の刀を振りかざすようなサンプル音が気に入っています。
 ゲスト参加してくれたROXY MUSICのアンディ・マッケイ氏のサックス・ソロも聞き所。ジャズではない、ブルーズでもない、独特のアートな香り、そしてリリカルな旋律。そしてそこに絡むバッキングのワウを踏みながらのカッティングもお聞き逃しなく。
 ソリッドでダイナミックなドラムは山木秀夫さん。ベースはアルバム全曲井上富雄くんが弾いてくれています。プログラミングは岸利至くん、福富幸宏さんが担当してくれました。
 「言霊 Lives In My Words 愛を伝えに行こう 胸に仕舞い込んだ想いは叶うはずさ」いしわたりくんが紡いだ印象的なサビのフレーズが皆さんに何を伝えようとしたのか、謎解きをするように言葉とビートの絡み合いを楽しんでください。

2)嵐が丘(作詞/森雪之丞)

 「夢を探しただけ 彷徨ううちに旅人と呼ばれていた そしてたどり着いたこの崖の上 どこにも道はない」森雪之丞さんからこの詞が届いた瞬間、特徴的なギターのアルペジオが風の音に変わった。イギリスの女流作家エミリー・ブロンテの長編小説のタイトルで知られる「嵐が丘」。人生は雨の日、晴れの日ばかりではない。時には嵐のような吹き飛ばされてしまいそうなほど激しい風に打たれる時もある。それでも風に向かって歩みを止めず前に進んでゆこう、というメッセージを力強く、そして繊細に森さんは描いてくれました。
 ギターには様々な楽しみ方がありますが、このアルペジオもまたハマると奥深いものです。POLICEの「見つめていたい」のように、一度聴いたら耳から離れないフレーズはアルペジオならではのもの。80~90年代のNEW WAVEバンドには印象的なアルペジオのヒット曲がたくさんありました。僕はこの頃の音楽に大きな影響を受けています。今回のアルバムはノンコンセプトでありながらも、どこかあの頃のNEW WAVEサウンドが基調になっているかもしれません。
 この曲も基本は「HOTEIモデル」、ソロはフェンダーのJEFF BECKモデルです。曲作りの段階でどのギターを選ぶかでアルバムのカラーは決まります。今回は自分の持ち味を最大限に生かしたいという理由から、ほとんどの曲を「HOTEIモデル」で作りました。このギターはテレキャスターの形をしていますが、非常に独特なサウンドを持っています。ピックアップは倍音成分を増幅する特性を持ち、カッティングやアルペジオには最適です。あまり歪ませ過ぎず、一音一音の粒を際立たせるように弾くのがコツ。
 この曲を作った時の気持ちはBOØWYのラストアルバム「サイコパス」を作っていた時の気持ちにとてもよく似ていました。なぜだろう?と自分でも思うのですが、30周年や渡英を含め、今までの自分を断ち切って、たとえそれが道なき荒野であろうとも夢に向かって進むしかない、という決意からでしょうか。
 サビの「さらば愛しき日々よ 心燃やした恋よ 語り明かした友よ 思い出に背を向けて」の部分はレコーディングで歌っていて胸を熱くするフレーズでした。森さんは作詞の時点で僕がももいろクローバーZに提供した曲が「サラバ、愛しき悲しみたちよ」という歌詞になったことを知りませんでした。奇妙なシンクロニシティですね。「さらば青春の光」と合わせると「さらば三部作?」となりましたが、僕はこの歌詞がとっても気に入っています。皆さんにも是非熱く歌ってもらいたいと思います。胸がぐっと震える曲です。

3)Don't Give Up!(作詞/いしわたり淳治)

 先行シングルのアルバム・ミックス。シングルより音がワイドになっているのを感じてもらえると思います。
 今回のアルバムのMIXは全曲、今井邦彦さんに手がけてもらいました。当初は英国のエンジニアも候補に挙がっていましたが、日本語の繊細なニュアンスを伝える為にも、布袋サウンドの良き理解者でもある今井さんにお任せして良かったと思います。外人のエンジニアと仕事をして一番難しいのは日本語のセンテンスを伝えること。同じ日本人同士でも難しいのですから、彼らに理解しろという方が無理な注文です。
 今回のアルバムは渡英前の東京でリズム・トラックを、そしてロンドンでギターやストリングス、コーラス、サックスなどのレコーディングが行われました。Metropolis StudiosのSam Wheatというエンジニアとは初めてのセッションでしたが、非常に真面目な好青年で、和やかでクリエイティブなレコーディングとなりました。僕の音楽はキル・ビルのテーマ曲しか知らず(といっても英国でもほとんどの人がこの曲を知っていることはとても嬉しいことです!)僕の要求に応えようとマイク選びからセッティングまで努力を惜しまず頑張ってくれました。
 この曲はゼマティスのメタルトップ、ソロはサスティニアックです。最近ではヘヴィな歪みの多いサウンドを求める時は、ほとんどメタルトップを使用しています。バランスの良いギターで、歪ませてもビートの粒が消えません。テレキャス、ストラト、ゼマティスの3本があれば、自分のすべてを表現できると思っています。

4)Never Say Goodbye(作詞/布袋寅泰)

 「大切な人との別れ。しかし心と心は永遠に繋がっている」別れをテーマに書いた久しぶりのラブソングです。高校をドロップアウトして、プロのミュージシャンになるという夢を叶える為に、故郷の群馬から上京した時の思いと、昨年、東京からロンドンに向かって出発する時の思いは、とてもよく似ていました。自ら何かを断ち切るように別れを選ぶ。何かがスタートするときは、何かが終わるときでもあります。
 シンプルなメロディを活かすため、なるべく装飾的なアレンジを排除しました。ドラムはあらきゆうこさん。モダンと王道のバランスが素晴らしい彼女のドラミングが、淡々としていながらも沸き上がる情感をとてもよく表現してくれました。
 シンプルなゼマティスの刻みはOKテイクの歪み加減がどうしても気に入らず、何度も録音し直しました。暗すぎず、そして乾き過ぎず、胸の温度感をイメージすればするほどその音を出すのは難しく、このアルバムで一番手こずった曲かも知れません。
 美しいストリングスは古き友人であるサイモン・ヘイル氏のアレンジのもと、久しぶりにアビイ・ロード・スタジオで録音しました。アビイ・ロードには住んでいたこともあるので懐かしかった。以前アシスタント・エンジニアだった人が立派なメイン・エンジニアとなり録音に参加してくれたのが嬉しかったです。ロンドンのストリングスは相変わらず素晴らしく、この曲の色彩を深めてくれました。
 このアルバムの中でも最も好きな曲のひとつです。
 
5)Come Rain Come Shine(作詞/岩里祐穂)

 タイトル曲の「Come Rain Come Shine」。Jazzのスタンダードにも『Come Rain or Come Shine』という曲があります。直訳すると「降っても晴れても」という意味になりますが、「どんな時も」と大きな意味で使われる言葉のようです。
 「ロンドンは天気が悪い」という印象をお持ちの方も多いと思いますが、確かによく雨は降るし曇り空も多いけど、一日中じとじとと降る雨はなく、雨のあとには必ず気持ちのよい青空が広がります。一日の天気予報も「雨のち晴れのち雲、のち雨のちところにより雷、霧」と、一日のうちにすべての天候が表示されることもあります。今回のアルバム・ジャケットの写真はロンドン在住の元プラスチックスで活躍なさっていたチカさんのお家の屋上をお借りして、アートディレクター兼カメラマンの永石勝さんに撮影してもらったものです。この日の空も白い雲と雨雲が青空に同居するコントラストがとてもロンドンらしく、まさにタイトル通りのジャケットが生まれました。
 ニュー・オーダーやOMDなどにも通ずるNEW WAVE、エレポップ風サウンドの核になったのは、あらきゆうこさんのストイックなドラムです。初期のドラムマシーンは無機質ななかにもどこか温もりがありました。彼女のドラムはいつもヒューマンな体温を感じます。ギターは「HOTEIモデル」この曲でもアンディ・マッケイ氏のサックスが色彩を放ちます。青空をゆったりと雲が泳いでゆくような、そう、ROXY MUSICの名作「AVALON」の世界観です。当初ギターソロだった箇所に岩里さんが歌詞を書いてしまったので歌ってみたら意外に面白く、初めての歌詞付きのギターソロが生まれました。
 僕はこの曲をヘッドフォンで聴きながら朝ジョギングするのが好きです。軽やかな気持ちで一日をスタートできるのです。皆さんもどうぞお試しになってみてください。

6)My Ordinary Days(作詞/森雪之丞)

 生涯のマイ・フェイバリット・アルバムと訊かれたら、高校生の頃からの愛聴版である10ccの「How Dare You! / びっくり電話」と答えます。中でも「I Wanna Rule the World」や「Don't Hang Up」などの、めくるめく展開が繰り広げられる曲には首ったけでした。演劇的で、どことなくユーモラスでスラップスティック、それでいてキュンと泣けるメロがある。僕の音楽はきっと一般的にビートの効いたアグレッシヴで男臭いイメージでとらえられていると思います。実際そういった部分をあえてデフォルメして表現してきたところもあり、それはそれで誤解でも間違いでもないのですが、この「My Ordinary Days」のような曲をいつか作りたい!とずっと思っていました。今回この曲を作れたのは、森雪之丞さんの長年の夢であったロックオペラ「サイケデリック・ペイン」という舞台作品の音楽を担当させてもらったおかげかもしれません。いつもの音楽制作過程とは全く違う、脚本の中のストーリーや登場人物、そして台詞に合わせて曲を作るという作業はとてつもなく大変なものでしたが、同時にとても刺激的なものでした。初のミュージカル音楽を楽しみながら書けたのは、中高生の頃夢中になった10ccやキンクス、QUEENやスパークスといった、シアトリカルな要素を取り入れたバンドを聴いてきたからでしょう。
 この曲に歌詞をつけるのは作詞家にとっても大変な作業だったと思いますが、そこはさすが森雪之丞さん。「大好物だよ!」と言って快く引き受けてくれました。「アンティークの目覚ましは週に3度 ...壊れる」という森さんならではの印象的なフレーズからスタートするこの曲は、いくつものパートがコラージュのように折り重なって進行します。リズムもツービートからワルツに、スローな幻想的なシーンから徐々にテンポアップして行き着くエンディングはサーカスの音楽をイメージして作りました。歌詞の中に登場するリスは僕の暮らすロンドンの家にときおり顔を出すかわいいリスです。
 人々は様々なストーリーと共に、川のように流れてゆく人生を紡いでいる。楽しく、切ない素敵な曲です。

7)Daisy(作詞/いしわたり淳治)

 コケティッシュな雰囲気のこの曲もまた、CARSやスクイーズなど、僕の愛したNEW WAVEバンドの匂いを散りばめた楽しい曲です。いしわたりくんとの詞の打ち合わせの際、主人公は「少女」、追いかけてもスルリとかわされる、天使のような笑顔で時をかける、不思議な少女の物語にしよう、と決めました。そして彼が作り上げたのがこの「Daisy」という女の子。
 はじめのデモテープではBメロもサビもストレートな8ビートでしたが少し単調な気がしたので、思い切ってBメロをワルツに、サビを半分のテンポに落としました。結果的にとても不思議で斬新な仕上がりとなりました。時には大胆な発想も必要だということを再確認することができました。
 ドラムは山木秀夫さん。日本最高峰のドラマーでありながらも、レコーディングではいくつもの種類のスネアを試してくれたり、プレイに関しても音に関しても決して妥協しない姿勢から多くのことを学ばせてもらいました。最近はデジタルレコーディングの利点を活かし、時間や予算を考えての効率的なレコーディングが主流となりましたが、スタジオは我々ミュージシャンにとって最高の修行の場です。いい音を出すには、いい音を録音するには、そしてそれを再生するには、技術や知識や感性、そしてなにより努力が必要です。
 ギターは「HOTEIモデル」、歪ませても歪まないこのギターならではのビートサウンドです。

8)Higher(作詞/森雪之丞)

 ギターキッズがまずコピーしたくなるのがこの曲ではないでしょうか?何故ならそれを狙って作った曲だからです(笑)。AC/DCのようなハードロックの王道リフに、モダンなサンプルやダンサブルなビートを絡めたこの曲はライブに映える曲でしょう。
 2弦3弦4弦を開放ポジションから人差し指と薬指で3フレット、5フレットで押さえ、ブリングオフする。シンプルなリフですが、僕はこれに親指で6弦を押さえて低弦の響きを加え、さらにへヴィーなリフに仕上げました。リフの合間をしっかりミュートしてブレイクを作ることで、LED ZEPPELINのようなムードが出たと思います。
 ここでもギターのディストーションの歪み具合がポイントで、あまり歪ませすぎると音と音が繋がってしまい古くさく感じてしまいます。もちろん好みにもよりますが、歪みは極力抑えた方がプレイのニュアンスや、プレイヤーの感情が伝わると僕は思っています。
 ドラムは村石雅行さん。ハードロックの王道感を活かしつつ、シンプルかつモダンに叩いてほしい、と細かいフィルのニュアンスまで僕の意見を聞き入れてくれました。このアルバムは山木さん、あらきさん、村石さんという、個性溢れる実力派ドラマー3人に参加してもらいました。打ち込みのビートも好きですが、生ドラムのシュミレーションには飽きたというのも正直なところ。やはりドラムは生がいいですね。
 バンドにおいてドラマーの存在は最も大切だと言うことは言うまでもありません。僕のようなリズムが命のギタリストにとって、誰と組むかによってプレイも大きく変わります。
 2013年の全国ツアーでは、先日10年振りの作品を発表したDAVID BOWIEのアルバムに全面参加したザッカリー・アルフォードが帰ってきてくれます。ザックの叩くこの「Higher」がどんなGrooveになるのか、今からとっても楽しみです

9)Stand Up(作詞/布袋寅泰)

 日頃ふとした瞬間にリフを思いつくことがあります。そんな時は携帯電話の録音機能を使いこっそり小声で録音するのですが、後に聴いても半分以上は使い物になりません。この「Stand Up」もリフから出来た曲です。頭の中でリフが鳴り、徐々にバンドサウンドが重なってGrooveしてくると、思わず「カッコイイ!」とにんまりしてしまうのですが、端から見れば単なる気持ちの悪い人ですね。
 歌詞は僕。いつもながらボキャブラリーの少ない、体温の高い歌詞ですが、リフを弾きながらシャウトして気持ちいい言葉だけを選んだつもりです。
 Bメロの「誇りがあれば 傷だらけでいい 誰にも負けない 強さが欲しい 心の奥で 燃え盛る炎 解き放て」は僕の心に燃える炎の証。うつむきがちな毎日で、この曲を聴いて少しでも気持ちがStand up!してくれる人がいれば、作者冥利に尽きます。

10)Rock'n Roll Revolution(作詞/布袋寅泰)

 ツアータイトルにもなったこの曲もまたシンプルなリフから作り上げた曲です。リフには単音のメロディから作られたもの(The Rolling StonesのサティスファクションやLed ZeppelinのBlack Dog、Lenny KravitzのAre you gonna go my wayなど)と、コードワークから作られたもの(キンクスのYou really got meやDeep PurpleのSmoke on the waterなど)がありますが、この曲は後者。いつもならフェンダーのテレキャスターで弾くところですが、今回は少し暴れた感じの音にしたくて、あえてストラトキャスターを選びました。
 ギターソロはリズム録りの時に弾いた一発もの。アルバムの中で一番ワイルドなソロかもしれません。普段レコーディングではソロのパートをアドリブからスタートし、しっくりくるフレーズを選びます。何度聴いても飽きない、ギターソロも一緒に歌えるような曲の一部としてのソロを完成させるよう心がけています。一度フレーズが決まると完成させるまで何時間も同じソロを弾いていることがあります。そうなるとスタジオの誰も声をかけられません。聴いている人にはきっと同じソロに聞こえるでしょうが、僕は弦とピックの当たり方や、ちょっとした音の処理、入り口のスリル感や終わりの長さなど、病的なまでにこだわってしまいます。僕のいいところでもあり、悪いところでもあるのかな。最近の曲はほとんどギターソロなど入っていないものが多いですね。「誰も弾かぬなら俺が弾く!」ではないですが、ギターソロならではの開放感を皆さんに味わってもらいたいと思っています。
 
11)Dream Again(作詞/岩里祐穂)

 作詞家の岩里さんとは今井美樹の「Miss you」が最初の出会い。最近ではももクロの「サラバ、愛しき悲しみたちよ」で久しぶりに御一緒させていただきました。美しい静かな言葉に深い情熱を感じさせる彼女の詞は、遠い景色の向こうに見える様々な感情を呼び起こさせてくれます。
 30周年アニバーサリーイヤーではBOØWYの「DREAMIN'」をオーディエンスの皆さんと一緒に歌わせてもらいました。ステージから見る客席の笑顔にはきっと、それぞれが戦ってきた様々な思いが込められていたと思います。
 20代初め、夢だけを追いかけて生きていたあの頃。その後いくつもの夢を叶え、またいくつもの葛藤や挫折を繰り返し、僕はこうして50歳という年を迎えました。人生の後半を迎えた今「俺は今も夢を追いかけているか?」と自分に問いかけたことがきっかけで、昨年の渡英に繋がったような気がします。
 すべての夢が叶うものではない。現実との狭間で、夢ばかりを追いかけて生きてゆくのは簡単なことではない。しかし、自分が自分らしくあるがために、夢は決して捨ててはいけない。この曲はすべての夢追い人に贈る静かなる応援歌です
 ストラトの澄んだ音と、暖かいストリングスが抱きしめ合うように奏でる夢の歌。
 「時は流れて今でも胸の炎絶やさずに あの日の憧れを追いかけているかい」胸を熱くする素敵な詞をプレゼントしてくれた岩里さんに心から感謝しています。

12)Promise(作詞/布袋寅泰)

 この曲は東日本大震災が起こった後「この悲しみに向けて自分はミュージシャンとしてなにが出来るか」と、自分に問うことから生まれた曲です。自分にとっては3.11の象徴的な曲であるがゆえに、このアルバムに入れることを当初はためらったのですが、最後にこうして並べてみると「このアルバムはこの曲を生んだ時からスタートしていたのだ」と思えるほどエンディングにふさわしい曲となりました。
 ミュージシャンという道を選びこうして生きている自分の願いは、音楽を通して聴く人の心を少しでも前向きに、元気にさせることです。僕も人生において苦しい時も嬉しい時も、いつも音楽に支えられ、助けられ、勇気づけられてきました。音楽に対する恩返しをしなければなりません。
 心のこもった魂の音楽を作り、奏で、伝えてゆくことが、僕と僕の音楽を聴いてくださる皆さんとの「約束」だと思っています。


 この「COME RAIN COME SHINE」が、たくさんの皆さんの元に届きますように。
 
 降り止まぬ雨はない。皆さんの明日が、光り輝く日となりますように。


  布袋 寅泰

 
 
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運命の橋 

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1985年。

僕が初めてロンドンを訪れたのは、そう。今から28年前のことだ。

BOØWYのサード・アルバム『BOØWY』のベルリンでのレコーディングを終え日本に戻る前に
ロンドンの伝説のライブハウス「Marqee Club」でライブを行う為に数日間滞在した。
バンドはGreen Parkにある「Half Moon Hotel」という洒落た名前のホテルに宿泊した。
スーツケースを開けば寝場所がなくなるくらい小さな部屋に、僕はベースの松っちゃんと同じ部屋に泊まったと思う。
ホテルの近くには当時最先端のファッション好きに知られる「クローラ」というグラマラスなブティックがあった。
飾られているスーツやコートは僕らには到底手のでない、一桁も二桁も違う値札がついていた。
少年時代からロンドンの音楽やファッションに首ったけの僕にとって、ロンドンはまさに憧れの街。
限られた滞在時間でどれだけ多くのブティックやレコードショップを回れるか。
文字通り足が棒になるほど、歩いて歩いて、また歩いた。
キングス・ロードの「BOY」や「ジョンソンズ」、ケンジントン・マーケットやカムデン・マーケットでは古着の革ジャンを探した。
ハイパー・ハイパーという最先端のショップには、パンキッシュでアバンギャルドなぶっ飛んだデザインの服が売っていたっけ。
SOHOでは日本では手に入らないレアなパンク/ニューウェイヴのレコードを買いあさった。
「クレイジーカラー」という絵の具のようなヘアカラーを何色も手に入れた。
当時は今のような優れた脱色剤はなく、僕はいつもブリーチ剤をシャンプーのように塗りたくって
時にはそのまま外出したり、酔いつぶれて寝たりしていた。
今もこうして少しでも髪に毛が残っているのは奇跡的と言うべきだろう。
英語は喋れない。バスも地下鉄も判らないどころか自分たちの居場所すら判らない。
時として無知は武器となり「開き直った者の勝ち」の精神で、果敢に外人にしゃべりかけていた。
ラバーソウルの底がすり減るほど歩いたものだ。

ベルリンでのレコーディングからカメラマンのハービー山口さんが僕らに密着し撮影をしてくれていた。
ハービーは一時期ロンドンに暮らし、学び、その穏やかな視線をファインダーに向け、
ロンドンの美しき風景やパンク~ニューウェイヴ時代の象徴的なミュージシャン達の素顔や横顔、
そして人々の憂い溢れた表情を写し取り、日本でも熱い脚光を浴び始めていた。
壁崩壊前のベルリンの街はどこに立っても重厚な歴史の影を纏い、重苦しい空気に溢れていた。
僕の大好きなDavid Bowieのベルリン三部作「LOW」「HEROES」「Lodger」が生まれた街。
僕らはデカダンスの空気を胸いっぱいに吸った。
凍てつく街角で撮影した数々の写真はとても思い出深い。

そしてロンドンに場所を移し、僕らはさらに撮影を続けた。
ハービーのおすすめのロケーションを四人は小さなバスに乗り巡った。
どの場所もほんの数分だけの撮影で、僕らは自分たちが何処にいるかなんて全然判らぬまま
ハービーのシャッター音を楽しんでいた。

ロンドンにいる。

それだけで嬉しかった。



2012年。

僕は世界への夢をあきらめきれず、ロンドンに移り住んだ。

若し頃は誰もが刺激物が大好きで、僕も例に漏れずロンドンの尖ったところに惹かれたものだ。
最先端と呼ばれるものすべてを求め、夜な夜なクラブを巡ったり、ちょっとヤバそうな一角に足を踏み入れたり、
徹夜なんて日常茶飯事。二日酔いは元気な証拠。
そんなデタラメな時期もあったものだ。
一所に留まることなどできず、いつも明日に向かって走っていた。
だから、今自分がいる場所すら意識をしていなかったし、景色はいつも風の中にあった。

しかし今は違う。
人間、誰もが年をとることには逆らえない。
アンチエイジングなどというその場しのぎのようなことはせず、
いかに自分らしく熟成(エイジング)を重ねるかが大切だと思っている。
今はクラブには行かない。夜中を過ぎれば眠くなってしまうからだ。
朝が早いのだから仕方がない。
そのかわり、朝はなかなか忙しい。
家族と一緒に目を覚ましベッドから出て、リビングのカーテンを開き、愛犬に水と朝食を与える。
時には家族のためにキッチンに立ち、グレープフルーツやオレンジでフレッシュなジュースを絞り、
卵料理とベジタブルにこんがり焼けたトーストを添え、豆を挽き香り立つ美味しいコーヒーを入れる。
娘を学校に送り、ルーリーとジョギングに出かけ、戻れば車の荷台にゴムのチューブを巻き付け
青空ジムでトレーニングをする。(青空の確率はかなり低いのだが...)
メールチェックや、東京とのスカイプ会議をしたりしていると、あっという間にランチタイムだ。
近くのカフェにベーグルでも食べに行こう、とまた街に歩き出す。
近所の庭の木々や草花の変化を眺めながら、季節の風の匂いを嗅ぎ、
身体のパーツに意識を巡らせながら歩く。
踵、足首、ふくらはぎ、太もも、腰、背骨、肩甲骨、肩、腕、手首、指先、首、目、頭...。
意識が体中に行き渡ることを感じながら空を見上げると、それがたとえ嵐の前触れのような暗い空であろうと、
幸福を感じられるものだ。

先日いつものように家の近くのテムスの川沿いをヘッドフォンで新作の「嵐が丘」を聴きながら歩いていた。
前日の雨で水かさが増していた川には、統制のとれたリズムで力強くボートを漕ぐ少年達の姿があった。
渡り鳥の群れが空に大きな五線譜のような美しいフォルムを描いていた。
気温は低かったが、春はそう遠くない、と思わせるような柔らかい空気が漂っていた。

ふと目線を前に戻した瞬間、僕は目の前の風景に釘付けになった。

心臓がドキドキして、胸が苦しくなった。

まるで呪文によって時の扉が開くかのように、その風景はすべての記憶を呼び覚ました。

その場の写真を撮って駆け足で家に戻り、もう一枚の写真を探した。

二枚の写真を並べた瞬間、追憶のパズルはカシャリと音を立てて完成したのだった。

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やはりそうだった。

それはあの日、バンドのメンバーと撮影の為に一瞬だけ訪れた、思い出の場所だったのだ。

これを奇跡と、運命と呼ばず、なんと呼ぼう。

この時、僕らは川の向こうに何を見ていたのだろう。
きっと同じ未来を見つめていたに違いない
その視線がまた一つになる日はもう来ないかもしれない。

「嵐が丘」という曲は、BOØWYの頃の曲作りの感覚を思い出しながらギター一本で作った曲だ。


さらば愛しき日々よ 心燃やした恋よ
語り明かした友よ 想い出に背を向けて
果てなき明日を行こう胸の彼方に浮かぶ
輝く虹を目指し もう一度旅立とう

さらば愛しき日々よ 心燃やした恋よ
語り明かした友よ 想い出に背を向けて..
.


ロンドンはやはり、約束の地だったに違いない。

僕はこの橋を28年かけて渡ったのかもしれない。

輝く虹は、この空の向こうにきっとある。


僕はそう信じている。











書籍、そしてツアー・メンバー詳細のお知らせ

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約6年ぶりの書籍『幸せの女神は勇者に味方する 人生の新しい扉を開く50の提言』が、
いよいよ2月27日に幻冬舎より発売になります。

壁にぶつかって思い悩んだとき、
自分自身に負けそうになったとき、
気分を一新して自分らしく颯爽と歩き出すために。

この本はTwitterやFacebookを通じて繋がった沢山のフォロワーや友達の皆さんとのふれあいの中
それぞれが、それぞれの日常を多くの喜びと共に
時には悩み苦しみながらも自分探しの旅を繰り返している姿に触れ
浅い経験ながらも僕の知っている「心のスイッチを切り替えるいくつかの方法」を
「夢を叶えるための50のヒント」というコンセプトのもと
皆さんにお教えするために構成の神館和典さんのお力を借りて書き上げたものです。

Chapter 1 夢が人生を作る
Chapter 2 しなやかな心を育てる
Chapter 3 努力は心を喜ばせる
Chapter 4 豊かな人生のために


という4つのChapterごとに

今日という日をスタートに
夢は定期検診しよう
撤退するのも勇気
ハングリー精神を持つ
仲間とは見つめ合わず同じ方向を見よう
弱点がオリジナリティーを創る
「TO DO リスト」を作ろう
仕事をエンタティンしよう
心のギアを下げることも大事
ワイルドなジェントルマンを目指せ


など、いくつかの項目別に、僕の失敗談や思い出話も織り交ぜて
一日のスタートを前向きな気持ちに変換する僕なりのコツを書き連ねました。

パッと開いたページから読める軽快な一冊です。
ポケットに、鞄に入れて、是非皆さんの毎日のお供にしてもらいたいと思います。
そして読んだ後に、皆さんからの「コツ」も是非伝授願いたいな、と思っています。


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そしていよいよ3月15日から新作「Come Rain Come Shine」を引っさげての
全国ツアーが始まります!
30周年アニバーサリーツアーでは懐かしい曲も沢山プレイさせてもらいましたが
今回は新作を中心に、常に革新的であり続けたいという信念を込めた過去の楽曲や、
初めてステージで披露する曲も数曲セットリストに加え、皆さんに楽しんで頂きたいと思います。

バンドのメンバーは

井上 富雄 (Bass)
岸 利至  (Programming)
奥野 真哉 (Keyboard)
ところにより野崎 泰弘(Keybord)
天気予報かっ!

そして今回は前回の中村達也くんに代わり
Zachary Alfordがドラマーとして参加してくれます。http://www.zackalford.com
ザックはデヴィッド・ボウイの10年振りのアルバム「The New Day」にドラマーとして全面参加
まさにノリにノっている状態での参加です。
彼のソリッドでしなやかなビートと、僕のカッティングが今回のツアーの見所とも言えるでしょう。
最新の重厚なHOTEI BANDのサウンドををどうぞお楽しみに!

日程は以下の通り。

3月15日(金)       千葉 市川市文化会館 大ホール THANK YOU SOLD OUT !
3月17日(日)       兵庫 神戸国際会館 こくさいホール
3月20日(水・祝)  静岡 静岡市民文化会館 大ホール
3月21日(木)      大阪 岸和田市立浪切ホール
3月23日(土)       香川 サンポートホール高松
3月30日(土)       愛知 愛知県芸術劇場 大ホール THANK YOU SOLD OUT !
4月6日(土)         石川 本多の森ホール
4月7日(日)         新潟 長岡市立劇場 
4月13日(土)       青森 リンクステーションホール青森(青森市文化会館) 大ホール
4月14日(日)       岩手 岩手県民会館 大ホール
4月18日(木)       鹿児島 宝山ホール
4月19日(金)       熊本 市民会館崇城大学ホール(熊本市民会館)
4月21日(日)       福岡 福岡サンパレス
4月25日(木)       三重 四日市市文化会館 第一ホール
4月27日(土)       東京 NHKホール
4月28日(日)       東京 NHKホール
5月1日(水)         福島 いわき芸術文化交流館 アリオス
5月3日(金・祝)    群馬 ベイシア文化ホール(群馬県民会館) 大ホール
5月5日(日)         宮城 仙台サンプラザホール
5月6日(月・祝)    東京 オリンパスホール八王子
5月11日(土)       広島 上野学園ホール
5月12日(日)       神奈川 神奈川県民ホール 大ホール
5月18日(土)       大阪 フェスティバルホール
5月19日(日)       大阪 フェスティバルホール


どうぞ皆さん、お見逃しなく!

まだまだ寒い日が続きますね。

御身体をれぐれも御自愛くださいね。

皆さんと会える日を心から楽しみにしています。






母が永眠いたしました。

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最愛の母が天国に旅立ちました。

母を愛してくださった皆様に 心から感謝申し上げます。

本当にありがとうございました。
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